ツイッターなどのSNSを見ていると、今日も景気のいい言葉が並んでいます。
今、ツイッターのタイムラインを見た所、パッと目に入ってきたのはこんな感じの言葉です。
「利益100万円達成!」「副業月収200万」「月利1000万」「法人化」「半年で月利50万」
1分くらいざらーっと見まわしただけで、凄い実績を発信している方々ばかり目に入りました。
しかも皆さん、かせげるようになるまでがとても早くて羨ましいなぁ・・・と心底思います。
私は10年近い時間を費やしましたので。
SNSを見ていると、自分が普段過ごしている世界とは全く違った何かが広がっていて、ワクワクすることもあるんですが、反面自分がダメな人間に見えて、焦りや暗い気持ちがうまれてしまったりします。
今回と次回の記事では、そんなすごい人たちについて考えていきます。
後編にあたる記事はこちら。合わせてお読みください。
その実績本当に証明できる???
まず、そもそもの話ですが、人間自分に都合の悪い情報は外部には出さないものです。
ツイッターなどで発信されているすごい人達も、実績を盛っている可能性があることを意識しましょう。
真に受けてはだめです。
「利益100万円達成!」「副業月収200万」「月利1000万」「法人化」「半年で月利50万」
圧倒されてしまいそうですが、実際の帳簿を見たわけでもなければ、確定申告の書類を見たわけでもありません。法人の登記簿も見たわけでもないのです。
私自身も自分の実績をSNSで言っている人間ですので、こういってしまうのもなんですが、人の実績は話半分程度にきいておくのが一番いいのではないかな、と思います。
まず、過度な憧れを持ったり神格化したりするのは避けた方がいいように思います。
ちょうど10年くらい前でしょうか。ネットビジネスの業界で、すい星のごとく億万長者が現れたことがあります。
なんでも、若くしてセミリタイヤしたとか、資産何十億とか、とりあえず表に出している実績はすごかったです。
彼を盲信的に信奉する人、神格化する人、たくさんおりました。彼関係しているコンサルは、数百万数千万というレベルの超高額だったそうですが、実際に購入する人も大勢いたとのことでした。
ただ、不可解な点は、彼の実績を証明するものは何一つなく、ただ、彼が発信している情報だけが実績を知るための手がかりでした。
それなのに、多くの人が彼の言うことを信じ、証明できないことがまるですべて真実かのように一人歩きしていたことは、ちょっとおかしな事態だなと思わざるを得ません。
それだけ、彼の話術や演出の仕方が優れていたということなのだと思います。実際に、私もリアルタイムで彼の情報を受け取っていたのですが、繰り出す言葉や知識は魅力的だな、と思いました。
しかし、今考えると、何も実体がないのです。人によっては存在しない人物だったんじゃないかと言う人もいました。
高額のコンサルを受けた人が、今どうなってるかは全く分かりません。
それだけ凄い人が関わったコンサルを受けたのに、コンサルのおかげでかせげるようになったという人は、この10年間この業界にいて、1度として見たことがありません。かせげるようになっても、ネット上で発信するなという教えでもあったんでしょうか。
普通は「この人、あの方のお弟子さんかな???」くらいの痕跡が残っている人、1人くらいいるんですけどね。
何が言いたいかというと、ネット上で公開されている実績がいくら凄くても、真に受けてはいけないですし、過度に信用すべきではないということです。
その方が、情報を発信してコンサルなどを販売するということを目的として実績を公開している場合であればなおさらです。
プレイヤーとしての実績=教えるのがうまいわけではない
「こんなネットビジネスで稼いでます!」といったような発信をする人は、大抵、自分のビジネスの売上に発信を役立てたいと考えています。分かりやすいのは、教材やサロン、コンサルなどでしょうか。
完全無料、ボランティアのつもりで情報を発信している方は極めてまれでしょう。
気を付けていただきたいのが、プレイヤーとして優秀であっても、教えるのがうまいわけでは決してないという事です。自分でプレーするスキルと、プレー方法を教えるスキルは全くの別物です。
スポーツでは、現役時代はスーパープレイヤーだったのに、監督としては凡庸だった、なんて話は沢山あります。
中にはサッカーのジダン選手や、野球の落合選手のように、プレイヤーとしても監督としても一流であるということもありますが、意外と少ないのではないかなと思います。
名選手名監督にあらず、なんて言葉もあったりしますね。野球では名将として名高い野村克也監督の記事ですが、こちらから引用させていただきます。
スター選手は自分ができたことは、皆もできると思い込んでしまっている。それを言葉に発してしまう。「なんでこんなこともできないんだ!」という言葉が、どれだけの選手を傷つけるか。思ったことは何でもできてしまうから苦労を知らず、そのため並の選手の気持ちや痛みがわからない。自分のレベルで選手を見るためにうまく指導ができず、言葉より感覚を重視してしまいがちなのだ。(上記記事より引用しました)
私も、かなり優秀で、バリバリ稼いでいるプレイヤーの方から、「普通にやっていればかせげるんですけどねぇ・・・」と不思議そうにいわれて衝撃を受けた覚えがあります。
「いや、その普通が分からないんだよ!」
と言いそうになって言葉を飲み込みましたが、
彼らの言う「普通」が私たちにとっては、かなりレベルが高く、途方もなかったりすることなんてよくあることです。
会社でも、優秀なプレイヤーが管理職になった瞬間、部下をつぶしてしまう、なんて話もよくききますよね。
私は普段学習塾に勤務していますが、高学力の先生が必ずしも教えるのがうまいわけではないなんてケースは山ほどあります。
彼らは子供のころから勉強が得意だったので、勉強ができない生徒がどんなところで悩んでいるのか、つまずいているのかが分からなかったりします。
逆に学生時代に学力がそれほど高くなかった先生の方が、生徒の気持ちがよく分かった教えるのがうまかったりするのも業界の常識レベルで普通のことです。
ネットビジネスのコンサルなんかでも、
「凄い人というから期待して入ったが、質問したらめちゃくちゃ不機嫌になってまともに答えてくれなかった」
「何をきいても、『それをきいてどうするのか!どうせ教えてもできないでしょう』と若干怒ったように言われ、言われたことをただ何も考えずにやれと言われた」
なんて言う話はあるあるだったりします。
ネットの凄い人に出会ったら
もう一つ、注意していただきたいことがあります。
それは、もしネットで発信している凄い人に憧れを持った場合、注意してください。そして、その人が情報を発信している理由をよーく考えることをお勧めします。
先ほど、実体の分からない億万長者の話をしましたが、そもそも本物の億万長者が、ネットの一般大衆を相手に、たかだか数万、数十万、せいぜい数百万数千万の商品を売ることに何のメリットがあるのかを考えた方がいいと思います。
昔、ネオヒルズ族なんて言葉が流行りましたが、月収ウン億のネオヒルズ族が乗っている高級車が「わ」ナンバー(レンタカー)だったなんて言う笑い話もあります。
ネットで凄い人に出会って、そしてその人の発信している情報が魅力的だなと思ったとき、過剰に信じすぎない、かならず自分の眼でどんな人かを確かめるようにする習慣をつけた方がいいと思います。
もし可能ならば、DMやリプライを送ってコミュニケーションをとったり、その人について調べたり、直接会えるならば会ってみたり見極めは必要なのではないでしょうか。
抽象的は魅力的
最後に、その凄い人が語っている言葉が、抽象的であまり具体性がない、もしくは日常生活ではあまり使われない言葉が多い場合、さらに注意です。
なんだかよく分からないけど凄そうな言葉は、魅力的ですが、何か言っているようで実は何を言っているのかが分からないことがよくあります。
ただ、抽象的な言葉に触れることで、自分がなんだかすごい人間になったような錯覚をしてしまう可能性があるんですよね。
日常では使わない非日常の言葉って、自分が違う世界に踏み入れたみたいな感覚にもなりますし。
現実は何一つ変わっていないわけなのですが。
ですので、何か言葉に感化されてしまいそうになった時は、その人が一体何を言っているのか、よく考えるようにしたほうがいいと思います。「よく分からないけれどなんだか凄い」と思ってしまった場合は要注意です。
「すごい方法と、すごそうな方法は似ているようでは全く違う」
とある方がおっしゃっていましたが、まさにその通りかと思います。
最後に
もちろん、実際に凄い人もネット上にはたくさんいることも確かです。
ただ、その凄い人たちを過剰に信じてしまうと、
あなたの貴重なお金や時間を無駄にしてしまうことにもなりかねません。
相手が何を考えているのか、
そして、そんなに凄い人が、自分たち向けに情報を発信しているメリットは何か。
相手の狙いは何なのか。
立ち止まって考えてみることをお勧めします。
ご注意ください!